出勤までの時間

マンションを出て夜の住宅街を歩いていると隣の部屋に住む妙齢の女性とその友人らしき数人連れがはしゃぎながら歩いてゆく姿が少し先に見えた。彼女達が「ふつーありえないよねぇ」と言いながら覗き込んでいた車に近寄ると,フロントガラス越しにどこかの企業の採用者・不採用者一覧が表になったプリントが座席の上に置きっぱなしになっているのが見えた。確かにこの企業の杜撰な個人情報管理もどうかと思うが悪口であそこまで盛り上がれる彼女達に私がいい気分がしなかった。



駅の北口にあった銭湯「まんのゆ」がなくなっていたことは到着して初めて知った(白地に毛筆の看板は出ていたのに)。近辺に他に銭湯はないかとモモコに電話してみたがひどく申し訳なさそうにわからない,ごめんねと連呼されただけだった。ビルの案内係らしき若い女性に尋ねてみると潰れたのではなく移転したらしいということはわかったが新しい電話番号にかけてみても出る風がない。仕方ないので銭湯は諦めて街を少し歩こうと思いビルを出た。外は晴れている,今日もいい天気だ。



賑やかな街から一本横道に入ると閑静な高級住宅地である。そこを「通れそうな脇道を見つけるまでは直進し続ける」というルールを設けて自転車で走り回る。いかにもなお屋敷風の家の裏側の植え込みの切れ目から敷地内に侵入し家の中に潜り込んだ。なるべく人の来なさそうな薄暗い板張りの廊下や階段を...,階段の上から光が差している,上って窓から外に出た。家より一段高い道路で正面の石垣の上には樹がずらりと植えられていた。
飽きたころに表参道をぶらぶらと歩いていると外回り中の母に出会した(首から携帯電話を下げている)。



家に帰るとテレビで「有名アーティストの過去」のような特集をやっており丁度私の好きなスピッツのコーナーだったのでソファに腰掛けて画面を凝視した。大きな接骨院で老人達に囲まれてやったライヴの映像が映し出されている,彼らはかなり早い段階からヒットしてしまったのでこうしたインディーズ的活動はデビュー数年後のこれが初めてだったそうだ。またボーカルの草野正宗は別名義でロシア民謡風の歌を歌っているらしく今度はそのライヴ映像が流された。普段からは想像もつかないようなてんで音のはずれた裏声に私は些かがっかりしたが民謡というのはまた別の難しさがあるのかもしれない。
少しすると母が帰ってきて表姉がケンタッキーでアルバイトをしているから見に行かないかと言う。そうしたい気持ちもあったが私自身15時からバイトなのでもうすぐ家を出なくてはいけない。それを伝えるとではバイトが終わってから行こうと言うが今日の私は閉店までの勤務でありケンタッキーの閉店時間も同じなので結局表姉が働いているところは見られない。
そろそろ家を出ないと。
はてな夢日記